意外な事実……別府にはインカレがない!それはいかん!!
そんな経緯で誕生したのは、別府初のインターカレッジ「温泉インカレ」です。記念すべき第一回のキックオフミーティングが2022年11月27日に「湯治ぐらし3」で開催されました。その様子をレポートします。
別府ならではの「温泉」をテーマに、インカレを立ち上げた仕掛け人は、湯治ぐらしの菅野 静さん。ファシリテーターにサンバシの小島健一さんを迎え「温泉インカレ」がスタートしました。
「別府温泉ビジネスクリエーション」を目指し、別府市内の大学生中心に広くアイデアを集めて新しい温泉ビジネスの可能性を生み出そう!という取り組みです。学生たちの柔軟で新しいアイデアで、ビジネスや起業につなげたり、温泉や湯治の可能性を広げたり、そんな未来を目指しています。まさに”源泉”!
キックオフイベント当日、和気あいあいとした和やかムードでスタート。参加したのは別府大学の学生、立命館アジア太平洋大学(以下:APU)の学生など、計15人です。
温泉に関わりの深い人や、コミニュケーションツールとして温泉を使っている人、足湯に浸かりながらレポートを書く人など「温泉玄人」の学生たちがいました。
一方、温泉は近くて遠い存在と言う人、実はあまり良く知らない人、まったく温泉に入っていない人も少なくありません。
この日は、別府溝部学園短期大学特任准教授の安達美和子先生、別府大学の広報課・石川万実さん、APU教授の須藤智徳先生も参加しました。
東京から別府に移住。200以上温泉地を周り、鉄輪に惚れ込んで移住した菅野さんは、温泉に親しみと愛をこめて「温泉ちゃん」と呼ぶほどの温泉好きです。
東北ではじめて「湯治」という言葉に出会いました。廃れつつある養生法だからこそ、大事にしたいと考え、湯治を「心と体を見つめ直す、静かな時間」と再定義。暮らしの中に湯治を取り入れる「湯治ぐらし」を提唱しています。
2019年移住、2020年には女性限定のシェアハウスである「湯治ぐらし1」を運営。翌年に「湯治ぐらし2」をスタートし、続けて男子のための「湯治ぐらし3」の運営を開始しました。入居者の多くは学生でしたが、家族やカップル、企業など利用者を増やす予定で、現在までに30人ほどがここで暮らしました。
シェアハウス「湯治ぐらし」には畑があり、老人会にも入会。多様な生き方や価値観を交換しあえる場にしたいと考え、地域の人も巻き込んだプロジェクトを立ち上げるなど、活発に新しい試みに挑戦しています。
「みんなの保健室」では、食事や運動など健康面に特化した取り組みを実施。腸活の先生を招いたり、ヨガ・バランスボールの講師を招いたり。鉄輪の「スクランブルベップ」というチャレンジショップを運営し、温泉で立ち直った後、頑張れる場所を作っています。
「やりたいこと盛りだくさん、掛け算をいっぱいしたいんです。それが結果的に地域に還元する場になり、大人だけでなく若い人にも住みやすく、また自分らしく生きやすい社会を目指しています。その「住みやすく生きやすい社会」を「自分たちの手で」作って欲しいんです。別府には働き口がない、働きたい場所がないなんていう問題がありますよね?それなら自分たちで解決しちゃおう!というのが今回の取り組みです!」と、熱く語る菅野さん。
湧き出る温泉のように勢いがあり熱いお話を聞いた後は休憩タイムです。
用意された地獄蒸し卵は、鉄輪のゲストハウス「ひろみや」さんが蒸してくれたもの。茶色が12時間蒸したもの、何も書かれていないのが6分のもの。カラを剥いたときの色の違いに驚いてる学生もいました。
続いては、もっと詳しく温泉を知るための講義がスタート。
毎分10万リットルの温泉が湧き出し、2800もの源泉がある別府。地獄蒸しや温泉染め、地熱発電など、いろいろな活用法があります。「掘りすぎ問題」もありますが、もっと有限な資源である温泉で何かできるのでは?と菅野さんは考えています。
日本では10種に分類される療養泉のうち、別府には7種類の泉質があります。泉質によって使い方や入り方が異なり、その効能は医学的にも証明済み。熱めの湯40〜42℃の温泉で頭をシャキリON状態にしたり、38〜40℃のぬるい湯でリラックスモードにすることもできるんです。お肌がつるつるになる泉質の組み合わせもあるようで、それを「機能温泉浴」と呼ぶそう。機能温泉浴ができるのも、これだけの泉質が揃う別府の大きな魅力。ただし温泉は、「なまもの」。熱い時も冷たい時もあれば、出たり出なかったりすることもあります。まるで生きている人のようです。さらに、泉質や入り方によっては、薬のような効果もあれば、逆に、体に毒になる効果もあります。入り方やどの泉質が合っているかは留意して入浴することが大切だそうです。
菅野さんは「温泉という言葉が初見されたのは、奈良時代から。湯治は平安時代からあります。明治頃から観光としての温泉が一般化されていきましたが、時代が進むにつれて人を癒す湯治が現代にフィットする形でアップデートされてる、かつ、人間らしい湯治街・・・それが鉄輪です」と語りました。
温泉についての意外な事実や偉大な効果をインプットした参加者たち。ここからは3チームに分かれて「温泉 ✕ ◯◯」のアイデアを出し合う時間です。
質より量!現実にできるかどうかの問題は問わず、おもしろくてもつまらなくても、ただの思いつきでもなんでもOK。新たな事業やビジネスアイデアを生み出すために、まずはみんなで意見を出しあいます。タブーなしのアイデア出し合い合戦、スタート!!
どのチームの参加者も積極的に発言している様子。
模造紙には次々とアイデアの付箋が貼られていきます。
アイデアがたくさん集まってきたら、カテゴリー別に分けていきます。
さて、どんなアイデアが出てきたのでしょうか?
カテゴリー分けも終わり、それぞれのチームがアイデアを発表!
チーム:ABM
「温泉✕サミット」全国の大学の代表が別府に集まり、温泉を通して話をするサミット
「温泉✕YouTube」温泉ユーチューバーが別府を紹介する
チーム:ラーメン
「温泉✕スポーツ」スポーツ観戦しながら温泉に入る、スポーツ選手も温泉で疲れを癒す
「温泉✕SDGs」リサイクルやフェアトレードなどの取り組みと掛け合わせる
「温泉✕宇宙」宇宙に温泉を飛ばす
チーム:レトロ
「温泉✕キャンプ」キャンプは寒いので、温泉をキャンプ地まで配達する
「温泉✕猫」鉄輪には猫が多いので、何かできそう
「温泉✕お酒」温泉でお酒を作る
すぐに実現できそうなもの、実はもう取り組みがあるものなど、多くのアイデアが発表されました!
休憩をはさみ、つづいて行われたワークのテーマは「学生が温泉に入らないのはなぜか?」「どうしたら入るようになるか?」というもの。
以前、別府大学の有志がキャンパス内で「温泉無料券」とティッシュを配布。受け取った学生がいたものの、なんと入浴しに来た学生は一人もいなかったという事実がありました。
なぜ、無料でも入らないのか?その理由と解決策が見つかれば、学生たちが温泉を楽しむ間口がぐっと広がりそうです。
「別府の温泉にまったく入っていない」という学生をグループに必ずひとり入れてチーム替えを行い、ワークがスタートしました。
どのグループも、まずは「温泉を利用しない」学生の話を聞きました。
15分程度のグループワークが終了し、発表の時間です。
「なぜ温泉を利用しないのか?」という疑問には、下記の理由が挙げられました。
・温泉と物理的距離がある。自宅から遠い、近くに共同浴場がない
・ひとりでは行きにくい
・作法やマナーがわからない
・貴重品が気になる
・コロナもあるし、気が引けてしまう
・家で十分だから、わざわざ行かない。忙しい
・恥ずかしい
どれも、なるほどと納得できる理由。小さい頃から温泉に慣れ親しんだ環境の別府市民からすると、あまり考えたことのない問題かもしれません。
温泉に入らない理由を知った上で、出てきた解決策がこちらです。
・温泉ガイドなどが一緒に入り、案内する
・ワークみたいなイベントにしてしまう
・共同浴場でキャンペーンなどをして、温泉に対するいいイメージをつける
・組合と大学が事前に手続きを行い、学生とつないであげる
・水着OKの日を作り、インスタなどSNS投稿をOKにする
・ハロウィンやクリスマスなどイベントをする
・学内でポイント制にする
・お風呂セットの貸し出しを大学で行う
このように、温泉へのイメージをアップさせたり、入るハードルを下げたりするアイデアがたくさん出てきました。実施できたら、かなりおもしろい反響がありそうですね。
盛り上がっているところで、終了の時間。第一回目の「温泉インカレ」キックオフミーティング、終了です!
みなさん活発に意見を出し合い、初めて同士とは思えないほど打ち解けた様子。終始笑顔と活気に包まれた時間でした。
終了時間後、学生7人が残り、今後について話し合いました。そして、「温泉インカレ」の毎月開催が決定!実行委員会を作る方向に動いています。
また「温泉✕サミット」の実現化に向けて、積極的に活動を開始することにもなりました。
そしてもうひとつ、月1で「湯治ガイド」も実行することに決定。普段は温泉にいかない学生を案内することになりました。
そして早速、今回の会場である「湯治ぐらし3」の温泉に、温泉ビギナーが入浴することに!アイデアが出たらすぐ行動、このスピード感がいいですね。
井上和奏さん、中山美帆さん(APU)
「人との関係を直接的に感じられた時間でした」
「温泉は入りにくい、ハードルが高いと思っていましたが、案外低いことに気づきました」
円城寺 健悠さん(別府大学)
「普段から温泉に深く関わる活動をしています。これまでは大学の中だけでの話だったので、今回大学外のつながりができて嬉しく思います。いままで自分がやってきたことも活かせそうなので、これからの展開が楽しみです」
初回から、さっそく具体的に動き始めた「温泉インカレ」。学生のパワーと温泉と、そしてこれから湧き出るアイデアで、どんな展開を見せるのか?乞うご期待!!
<お知らせ>
学生主体の「温泉インカレ」は、「別府温泉ビジネスクリエーションセンター(BBCC)」の一部の活動として実施していくことになりました。
別府内外の学生のみならず、社会人・企業・団体の皆様もぜひご参加お願いします。
BBCC主催の月1回のミーティング日時は、BBCCホームページをご覧ください
多くの方々のご参加、ご要望、持ち込み企画などお待ちしております!
www.facebook.com/groups/bbcc2022/