GENSEN

好奇心を湧かそう。

 
食品ロス問題の解決を目指し奮闘する大学生の本音

食品ロス問題の解決を目指し奮闘する大学生の本音

〜お気持ち価格で決められる生鮮品マルシェ〜

2020.12.27

プロジェクト

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2004年、Ronni Kahnは、運営を開始して間もない最初の1ヶ月間で、オーストラリアのシドニーの貧困にあえぐ人々に約4,000食を届けました。1台のバンからスタートした道のり。Kahnは、必要としている人たちを助けたいという純粋な信念で活動を続けます。それから約15年後、彼女が創設した会社 OZ Harvestは、オーストラリアを代表する食品レスキュー団体になりました。彼女の地域社会への貢献ストーリーは、世界中の人々を感動させています。

もし、このような活動が、あなたが思っているよりもずっと身近なところにあるとしたらどうでしょうか?

このoz harvesstの”別府バージョン”とも言える、「あまいろ商店」を運営している古川 光(ふるかわ ひかり)さんをご紹介します。

 

内に秘めた情熱、社会貢献への思い

光さんは、大分県別府市に約5,500人住む立命館アジア太平洋大学(以下、APU)の学生の一人です。数多くの授業をこなしながら、家賃の支払いをし、友人との時間を楽しみ、猫にエサを与えたり....。やるべきこと、やりたいことが山積みの忙しい日々。そんな日常を過ごしながら、彼女は時間を見つけては自分なりの社会貢献に取り組んでいます。

その名も、「あまいろ商店」。彼女が大切にしている、地域社会や都市に良い循環が根付くよう活動しているプロジェクトです。

あまいろ商店の仕組み。お客さまは地域のご高齢の方、留学生など様々。イベントを通じて繋がりが生まれています。

 

現役大学生の光さんがこのプロジェクトを始めるきっかけは何だったのか。学業と両立しながら、このような大きな社会問題の解決に挑戦することはとても難しかったのではないか?私は気になり聞いてみました。

あまいろ商店のイベントの最中、熱心にインタビューに答えてくれたひかりさん

「日本でもフードロスや貧困などの社会問題があることに気づき、悲しくなりました。そこでそのような問題を解決したいと思ったんです。それに、学業はそれほど大変に感じたことはありません。空いた時間を利用して「あまいろ商店」のプロジェクトを推進しています。プロジェクトが楽しく充実しているので、学校生活と両立できてますよ」と話してくれました。

楽しそうに、でも真剣な眼差しで話す彼女の目を見て、「問題を解決したい」「社会に貢献したい」という強い意志が、このプロジェクトを一歩一歩前へ進めているのだと思えました。

 

共感が人を動かす

オーストラリアの「OZ Harvest Organization」の運営と同じように、「あまいろ商店」もまた、いくつかの組織や人が関わっています。今は道半ば。このプロジェクトを成功させるためには、さらに多くの要素が必要なのですが、協力できることはある?関われるかな?と、賛同する仲間が少しずつ増えてきています。

あまいろ商店の最初の一歩はなんだったのだろう。
どのようにしてチームが生まれたのか、光さんに尋ねました。

社会貢献、社会問題解決の一端をともに担おう。そう伝えていきました。」

素直な思いを話したり、想いを伝えるためにSNSを使ったり、人前でプレゼンテーションをしたりと、様々な方法で身の回りの方々に伝えたそうです。光さん自身は物腰が柔らかく、謙虚な印象。しかし、ふと垣間見える強い意志。彼女の意志が本物だからこそ、人々を説得することができたのでしょう。彼女は真実を語り、隠れた課題を説明し、周囲の人々をフードロスという社会問題解決の一員へと巻き込んでいくのです。

2020年10月に行われたビジネスプランコンテスト「ONE BEPPU DREAM AWARD 2020」では、光さんのプレゼンテーションが多くの企業から評価されました。

観光都市でありつつ”寛容都市”でもある別府だからこそできた挑戦

2020年11月のはじめ、イベントが行われていた別府駅近くの路地裏に光さんを訪ねると、野菜を持ち帰ろうとする人達が大勢。光さんはお客さんとの会話や運営で忙しそうでした。

「イベントに対して、別府に住んでいる人は、どんな風に感じているんだろう」
会場までの道のりで浮かんでいた疑問の答えは、多く人が野菜を手にしたり、ボランティアスタッフの説明を聞いたりしている様子をみると聞かずとも伝わってきます。賛同者が賛同者を呼び、優しい輪が広がっているように思えました。

あまいろ商店には、このまま廃棄処分になってしまうにはもったいない食材が並びます。そして、これらの農産物を提供している農家さんが多いのも大きな特徴。

 

「食品ロスや貧困というテーマは、どこか遠い場所の手に負えない問題だと思われがちですが、実際には私たち一人ひとりが少しずつ変えていくことができます。誰かがやればいいというのではなく、自分自身の行動で明日を変えていくことができるのです」と、光さんは言います。

地元佐賀県から別府の大学に進学した光さんに、「なぜ地元佐賀ではなく別府で開催しようと思ったのですか?」と聞くと、

「最初はただ自分が別府にいるからというのが理由でした。地元にいる時からチャレンジしてみたいことだったので、思い切って別府の人に話をしてみたんです。そしたら、みんなが「すごいね!」「絶対面白いからやろうよ!」って言ってくれたんです。この声は私に大きな力を与えてくれました。別府の人は新しいことが好きで、社会的活動に興味があるんですよ」

なるほど。会場の賑わいを思い返すと納得。


光さんの考えに共感し賛同した人たちはこう言います。

「食品ロスの状況を、聞くまでは深く理解していなかった。だから、これからは自分も気をつけたいと思うんです」と。

こうした言葉で、光さんは励まされ、前を向けると言います。
そして、このプロジェクトを応援してくれる人たちが、共感し周りに伝え広めてくれることを、今日も願ってやまないのです。

 

* あまいろ商店第2回の実施予定日:2月20日、27日、3月6日(毎週土曜)
 詳細は”あまいろ商店”のページをご確認ください。

さんの思いに共感するチームメンバーが数多く集まってきています。

 

目指すは誰もが取り組むことのできる、サステナブルな”フードロス解消システム”の構築

昨年2019年6月に光さんがプロジェクトをスタートさせて以来、様々な反響がありましたが、プロジェクトをこのまま継続させることに難しさも感じているのが実際のところ。

学業とプロジェクトを両立させながら、今日まであまいろ商店を存続させてきた彼女に、今後あまいろ商店をどうしていきたいか聞いてみたところ、「このプロジェクトを継続させつつ来年から就職活動をする予定なので、その先の将来において引き続きあまいろ商店を引っ張っていけるかどうかは、正直わかりません。でも、フードロスに関する社会問題の解決という使命は諦めません」と語ってくれました。

彼女は2021年2月〜3月*にもイベントを計画していますが、きっと、2020年11月に開催された前回のイベントよりもさらに良いものとなるでしょう。さらに光さんは、卒業してリーダーとして継続できなくなったとしてもプロジェクトが生き続けるように、現在「あまいろ商店運営マニュアル」を作成しているそう。いつかこの使命を引き継ぐであろう次のメンバーに希望と理想を託しているのです。

未来に希望を感じられる。
きっと、私たち誰にでも変化をもたらすことができるはず。
あなたも解決への道のりに参加してみませんか?

編集後記

光さんのこれまでの道すじと、社会に還元したいという思いに触れることで、「プロジェクトの実現を応援しよう」と、次々に刺激されていくはずです。私たちは今、町の人々から起業家まで、あらゆる方々に可能な方法で彼女を応援してもらえるよう呼びかけています。あなたもきっと問題解決に参加できるはずです。

あなたのGENSEN(源泉)は
何ですか?

世の中に存在する"当たり前"を打破したいという想い

WRITER

BACKAERT, Gem Kenneth

BACKAERT, Gem Kenneth(Ken)

フィリピン ベルギー

北海道 札幌から熊本まで日本全国を訪れてきた。日本中の価値のある場所を全て訪れるのが目標。次の目的地は鹿児島。

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私は旅と探検に情熱を持っています。これまでにヨーロッパとアジアの20カ国以上を訪れました。その美しさと文化に魅了された日本は、私の一番のお気に入りの場所です。こちらにある魅力ある場所や人、物、全て発見したいです。

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