GENSEN

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地域社会に還元するパイオニアであること  〜内に秘めた情熱をもった若者たちを表舞台へ引き上げるという使命〜

地域社会に還元するパイオニアであること 〜内に秘めた情熱をもった若者たちを表舞台へ引き上げるという使命〜

2021.02.28

GENSENたち

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別府北浜にあるthe HELL Record & Sourは、学生をはじめ、別府の人たちに愛されているお店だ。しかし、ただのバーではない。DJイベントや、クリエイターの展示会などを定期的に開催するイベントスペースでもある。ここは、別府のことをよく知るオーナーの深川謙蔵さんが、学生や別府に住む人たちがクラブのように通ったり、サワーを楽しんだりする場所として、2年ほど前に立ち上げた。


居心地の良い店内。キャンドルライトが良い雰囲気を演出します

 


ターンテーブルから流れるノスタルジックな音楽は、the HELLを印象付ける特徴のひとつです。

 

さまざまな年齢層の人々が気軽にこの空間を楽しんでいます。

謙蔵さんは佐賀県出身だが、幼少期から日本各地を転々としており、様々な人と出会い、その人たちの魅力を目の当たりにしてきたそうだ。

 

the HELLのオーナーの深川謙蔵さん

 

自分にとって仕事とはなにか?を知るために大学を休学して仕事をすることを決意した彼は留学先のマルタで、多くの新しい人々と出会い、最高の思い出を作ったそうだ。ヨーロッパの旅その土地の文化を学び、それが日本の典型的な飲食店とは違ったthe HELLの雰囲気にも影響を与えているのだろう。

2014年に別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)を卒業した謙蔵さんは、東京都内のデジタルマーケティングを主要事業とする企業の人事部で働いていた。大学在学中に休学してまでも仕事の経験を積んだことが、彼にとって大きな学びとなり、それがthe HELLをオープンするために必要なモチベーションに繋がった。

「僕は以前、約10ヶ月もの間、別府のバーの経営を任せてもらっていたことがあったんです。経営する機会を得たことで、この業界がどのように機能しているのか、事業を興すことことがどのようなものなのかを理解するのに役立ちました。また、バーテンダーになるには欠かせない対人スキルを磨くこともできましたね」

 

謙蔵さんのお話はとても刺激的でした

 

なぜ別府に戻ってきたのかを彼に聞くと、「別府は多様な社会の縮図。ここで出会うことができる人たちは、自分の視野を広げてくれるんです」と話してくれた。この街は別府に住む人々に特別な魔法をかけてくれるのかもしれない。

 

クリエイティブなチャレンジができるコラボレーションスペース

「the HELLでは、学生達が自分たちのアイデアやプロジェクトを発表できるプラットフォームをつくっています。学生はやる気に満ち溢れていて、素晴らしいコンセプトを持っているのですが、多くの場合、そのコンセプトを実行するための手段、特に金銭的な余裕がありません。だから私は、アウトプットのサポートをしています。」

 

協力者からのコメント

--- Supper Team:the HELLにはチームメンバーがよく飲みに行ったりイベントに参加させていただいたりしています。謙蔵さんは何かをやろうとしている学生、挑戦したい学生が活躍できる場所の提供としてthe HELLの営業時間外やイベントなどを提供してくださっていることを知り、the HELLの場所で何度かポップアップをさせて頂きました。来られる方々は温かい人達ばかりでした。ポップアップ以外ではオンライン販売しか行っていない私達ですが、the HELLでのポップアップを通してお客様の美味しそうな顔や、笑顔が見れたのは貴重な時間でした。

Supper Team メンバー

 

--- Yuya Murakami (Illustrator & APUの学生):the HELLには普段から仲間と飲みに行ったり、イベントに参加したりとお世話になっています。毎回オーナーの謙蔵さんは、私自身の悩み事や将来の話などを聞いてくださり、ただのお店のオーナーとお客さんという関係だけではなく、自分のことを理解してくださる人生の先輩でもあります。7月に開催した個展は、謙蔵さんの方からお声かけをいただいたのがきっかけでした。いつかこの空間で自分の表現をthe HELLのお客さんと共有してみたいと思っていたため、とても嬉しかったと同時に、日頃の自分の制作活動を見てチャンスをくださったことを感じ、さらに創作に力が入りました。個展期間中は自分の友達だけでなく、SNSを見て足を運んでくださった方や、the HELLに立ち寄って新しく自分の活動を知ってくださった方など、リアルな場所で展示をするからこそ生まれる新たなつながりやコミュニケーションの大切さを実感しました。地方に住み何かに挑戦する私のような今の若い世代にとって、the HELLや謙蔵さんの存在は大きなきっかけとなり、さらには将来のロールモデルとしても貴重な存在です。

 

Yuyaさんがthe HELLのために製作したイラストレーション

 

2020年の早期にthe HELLで開催されたYuyaさんの展示会

 

"バーテンダーはアーティストでもある"

the HELLのドリンクのメインラインナップである、新鮮なフルーツと季節のカクテル。ぜひお試しください

 

謙蔵さんは 「アウトプットを出せる人は誰でもアーティストだと思う」と言う。「アウトプット」とは、単に商品を作ることだけではないはず。アーティストという言葉の持つ従来の「絵を描く」「スケッチをする」という意味に限定された定義はもはや通用しないのだろう。アーティストは自分のサービスを通じてた人々の体験を創造するために動いているのであり、だからこそ謙蔵さんは "バーテンダーもアーティストだ "と話しているのだ。

 

新たな可能性を探し続ける

コロナウイルスの影響で計画通りには行かない状況が続いているが、謙蔵さんは希望を持って未来を語る。

「次は事業拡大ですね。別府に長く住んでいるので、地元の観光に関心があります。観光の発展に貢献したいと思っています」地元の若いアーティストとのコラボレーションをこれまでしてきたので、今後は竹細工職人などの伝統的なアーティストや、別府の歴史を伝える人とのコラボレーションも視野に入れているそうだ。

「この街について知らないことがまだたくさんあります。イベントやパフォーマンスをサポートすることで、知られざる別府の歴史を蘇らせる一端を担っていきたい」と語ってくれた。the HELLとその次展開が楽しみでならない。

謙蔵さんからビジネスパーソンに対してのメッセージ。それは、「自分が本当に求めているものは何かを自問自答すること」。

「ビジネスに熱い情熱を持っている人はいるかもしれません。そこからぜひ自分のビジネスが地域社会のために何ができるのか、考えてみてください。」


別府への恩返し

また、別府から多くの恩恵を受け取っているその分貢献したいという想いも伝えてくれた。別府の街をより良い場所にするために貢献したいという彼の思いは、2020年の初めに行われたチャリティープロジェクト「#StaywithBeppu」にも繋がっており、彼が参加するクリエイティブユニット「BEPPURISM」のプロジェクトでは50万円以上の寄付金が集まった。

コロナウイルスは、私たちに未来の不確実性を教えてくれた。しかし、これは、彼が話しているような実現性を生み出すチャンスを秘めているということでもある。だからこそ、彼は変化を起こすクリエイターや、挑戦したいと思っているアーティストに、the HELLとのコラボレーションを呼びかけているのだ。もし彼と共にプロジェクトに取り組みたい人がいたら、アート展やポップアップの可能性について、気軽にthe HELLのインスタグラムに連絡してみてほしい。彼は、お客さんからの声に応じてメニューを変えていくという、日本のバーカルチャーでは珍しいスタイルをとる方なので、とても親身に話を聴いてくれるだろう。


やよい商店街で、謙蔵さんとパシャリ。このやよい通りの道筋のようにまっすぐな光が差し込んでくるような、希望が持てたインタビューだった。

 

編集後記

ケンゾーとの会話は、私に多くのインスピレーションを与えてくれました。学生の私にとって、誰かが何かにチャレンジしていく原動力に触れることができ、とても励まされる思いでした。また、私たち自身のコミュニティに対する責任感を感じ、人々や別府のコミュニティにどうやって恩返しができるかを考えさせられました。

別府の学生コミュニティの一員として、スペースだけでなく、若い世代にも夢を実現する機会を提供してくれているケンゾーに感謝したいと思います。最後になりましたが、読者の皆様には、ケンゾーのように頑張っている方がたくさんいるので、いつものように地元の企業を応援していただければうれしいです。

あなたのGENSEN(源泉)は
何ですか?

学生を引き上げ、起業家と一緒に仕事をすること

WRITER

Mudra Srinivasan

Mudra Srinivasan(Mudra)

インド オマーン

現在、大学の学生団体による「This is Me」というあらゆる形でのインクルーシブ(特にキャンパス内で目にする異文化や多様な背景に関して)を尊重するプロジェクトに取り組み中。映画「グレイテスト・ショーマン」のように、キャンパスにある多文化を強調したミュージカルショーを作ることが目標。

MESSAGE

別府は文化のるつぼであり、それは世界中からの留学生によるところが大きいと思います。留学生である私が自分の視点を生かして、読者の方にも楽しんでいただけるように自分がワクワクするような記事を書いていきたいと思っています。別府の新しい場所や人々を発見し、読者の皆さんと共有します!

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