仕事と休暇を織り交ぜた過ごし方として注目されている「ワーケーション」。現在、全国各地で様々な取り組みが行われています。
…とは言っても、どこも自然豊かだし、だいたい同じでしょ?と思われたあなた。別府では、他の地域では味わうことの出来ない「ワーケーション」を楽しむことが出来るのです!
別府のワーケーションの特徴は、仕事の前・間・後に「温泉時間」をはさむことができるということ。ただ温泉につかるということではなく、温泉を介して、地域の人と深く関わることができ、別府のいたるところにある共同温泉で「地域の人と、裸のコミュニケーションが可能」なんです。温泉が、その街の日常に溶け込んでいる別府。そこでワーケーションをすることで、心身共にリラックスしながら、仕事に打ち込めるのではないでしょうか。
別府には、留学生が約2,600人近く学ぶ立命館アジア太平洋大学(APU)や別府大学、別府溝部学園短期大学があることから、留学生を含めた学生の人口がなんと約8,500人。また近年は日本各地からの移住者も増えています。そのため、地域の人との交流だけではなく、移住者や学生、そして観光客とも近い距離で交わることができるのです。
日常と観光の「間」を楽しむことができる、別府でのワーケーションを、実際に体験された方のお話を交えてご紹介します!
わたしたちGENSENでは、別府のワーケーションエリアを「鉄輪エリア」「北浜エリア」「明礬エリア」の3つに分けて考えてみました。別府は10種類ある泉質の内7種類がある、珍しい地域です。エリアごとに主な泉質も違うので、ぜひその違いも楽しんでみてください。
温泉が数多くあり、昔ながらの湯治宿が残っています。地域の人も毎日使っている「共同温泉」が多いため、その地域の日常にも溶け込みやすいことも特徴としてあげられます。鉄輪エリアの主な泉質は塩化物泉。塩の成分で肌が保護され、保温保湿効果の高い泉質です。冷え性や乾燥肌に悩んでいる方におすすめです。
共同温泉って?
共同温泉とは、温泉地にある、地元の人達が管理をしている温泉のことです。別府には至るところに共同温泉があり、日々、家族連れや地元の人で活気が溢れています。
それでは、鉄輪エリアの温泉や、ワーケーション にぴったりな施設をいくつかご紹介します!
湯治の文化を取り入れつつ、鉄輪に新しい風を吹かせている「湯治柳屋」。モダンな雰囲気な中に、どこか懐かしさがあり、男女問わず人気の高い宿です。流れる空気感がゆったりしており、仕事や作業に集中したりゆっくりと休んだり、自分らしく過ごすことができます。
2019年にリニューアルオープンした、ひろみや。観光客のためのインフォメーションセンターとして機能しつつ、地元の人も集える温かい場所でありたいというオーナーさんの思いの通り、1階にある交流スペースでは、地元の人と観光客、そして学生が交わる場所になっています。
一切加水していない、源泉100%の温泉で、シャンプーやせっけんなどを使用することは一切禁止。静かな室内で瞑想気分を体験できます。疲れやストレスを思い切り発散しましょう!
すじ湯目の前にあるのが、2019年4月にオープンしたコワーキングスペース「a side -満寿屋-」です。ワークスペースはもちろん、ソファ席やデッキスペース、ミーティングスペースに加え、心を整える「ZEN」というスペースもあります。ドロップインは2時間500円から利用できて、向かいのすじ湯温泉も入り放題なので、「仕事して→徒歩10秒のすじ湯に入って→また仕事する」という温泉をはさみながら仕事に打ち込むことができるのです。
繁華街が近いため、仕事終わりにもサクッと飲みに行くことができ、昼も夜も楽しむことができるエリアです。ワーケーション滞在中に、馴染みの店をつくってみては?北浜エリアの主な泉質は、炭酸水素塩泉。肌表面の角質を取り除いてくれるクレンジング効果の高い泉質です。
今年で90周年を迎える山田別荘は、繁華街の少し外れにあり、館内に入ると流れる空気が令和から昭和初期にタイムスリップしたかのように一変するのが特徴です。もちろん、温泉もついているため、仕事をしたらそのまますぐに温泉にチャポン‥ということもできちゃいます。
別府駅から歩いて行ける場所にある、北浜エリアの繁華街。昼のランチや夜の食事はもちろん、約30年ほど続くライブハウス「ヒットパレードクラブ」があったり、地元の大学の卒業生が営んでいるバーがあったり、多様な楽しみ方ができる場所があります。
標高350メートル。別府駅からクルマで20分の山あいに位置するため、喧騒から外れてゆっくりしたい人にオススメです。明礬エリアの主な泉質は硫黄泉。乳白色が特徴で、硫化水素ガスによる血行促進、また、代謝が促進されるので便秘解消、デトックスも期待できます。
別府湾を見渡す高台にある温泉で、景色を楽しみながら温泉に浸かることが出来ます。明治7年創業ということで、古くからの歴史がある温泉でもあるのです。宿泊もできるので、1日に何度も温泉に入ってリフレッシュすることが可能です。
天然由来の入浴剤である「湯の花」。明礬にある、わら葺き屋根の「湯の花小屋」では、江戸時代から続く伝統的な製法で、湯の花が作られています。こちらの湯の花小屋は、年中無休で見学をすることも可能です。
一言で「温泉時間」といっても、場所によって様々な魅力を持ち、多様なワーケーションを楽しむことができる別府。「うーん、良さそう。だけど、実際のところはどうなの?」と思われている方。そこで、実際に別府でワーケーションを体験された方にお話を伺いました。
今回は、湯治ぐらしの環境省ワーケーション実証事業で別府に滞在されていた、5名にお話をお伺いしました!
<株式会社みたて代表取締役 庄司英生さん(京都市)>
「別府でのワーケーションの魅力は、すじ湯をはじめとする、共同温泉が豊富にあること。戸を開けて入浴するまでのタイミングが圧倒的に早いのは、とても良い点です。過ごし方としては、空き時間にリモートで打合せしたり、資料をつくったり。いちばん思い出に残っているのは、本を持ってすじ湯に入ることができたこと。本に目を通して、湯に浸って考え事して‥。そんな過ごし方ができたのが印象深いですね。」
<Dokoga TV Producer 中島陽子さん(千葉市)>
「良きあたたかさを持つローカルの人たち、バリバリ日本各地で仕事する現役キャリアチーム、希望に満ちてキラキラしている現役学生、精神や体を療養しに来ている人たち‥そんな、普段巡り合えない人たちが、鉄輪では心地よく共存し、お互いを刺激し合い、その相乗効果で、とてもクリエイティブな場所になっていました。いつ訪ねても、すんなり受け入れてもらえる優しさ、仕事に行き詰まったときのアイディアや刺激、心身ともに健康な生活を求めて何度でも行きたくなる…鉄輪温泉はそんな場所でした。」
<⽶国コーネル⼤学ジョンソン経営⼤学院マネージングディレクター 唐川靖弘さん(東京都)>
「やはり別府のワーケーションの良さは「温泉」の存在に尽きると思います。温泉で裸になることもあってか、自分の殻を撃ち破り、新しい自分の感覚を手に入れるという感じがします。そして、もう一つの魅力は「宿ごとに異なる人のコミュニティ」に入り込めることでした。それぞれの女将さんによって、ユニークなコミュニティや時間が作られると感じました。そういう『異なる女将さんと触れ合わせていただくことで、様々なワーケーションの形を楽しめる』というのも別府ワーケーションの魅力だと思います。今回は、ひろみやさんに泊まらせて頂き、温泉も、地元の方々が行く場所に数カ所行かせて頂き、地元の方々のお話を耳半分で聴きながら、地元の生活を味わせていただく。よそ者としての旅行者なのですが、ちょっとだけ仲間に入れてもらうような時間の過ごし方をしました。そうすることで、世の中には色々な風景があって、色々な人たちがいることを認識できる。だからこそ、普段自分がいる世界や、やっている仕事の意味を改めて感じることができました。」
<広報企画の仕事に携わる 山下裕子さん>
「別府ワーケーションの魅力は、温泉を中心としたコミュニティが生活の一部であること。空いた時間に手軽に入ることのできる無数の温泉や、温泉の蒸気で蒸す地獄蒸した食材。その周りには会話があって、人との距離が近く温かい。大阪に帰ってくると、別府が恋しくなります。いつでも何度でも温泉に入れるので、サクッと短時間、1日に何回も入っていました。」
<ビッグローブ株式会社 竹谷建人さん>
「過去に、様々な場所でワーケーションを行ってきましたが、別府では地域の方々との距離感が圧倒的に近く、コミュニケーションをとる機会が多いことが印象的でした。地域の住人や学生とのコミュニケーションから新しい発想が生まれ、それが自身の仕事のアイデアに繋がっていく‥という特別な体験は、他の地域ではなかなか味わえないと思います。」
コメントをいただいた皆さん、ありがとうございました!わたし自身、県外からワーケーションで滞在されている人と触れ合うことで、自分が住んでいる土地の魅力に触れることができ、新たな発見がありました。そして、この街の良さを再確認することにも繋がります。
心と身体を解きほぐす温泉はもちろん、別府にある「人と人との繋がり」も感じてもらえたことが嬉しいですね。
次回後編では、ワーケーションの今後の可能性についてお伝えしたいと思います。こうご期待!
湯治のあるライフスタイルを湯治女子として発信中。グラフィックデザイン・イラスト・ロゴ制作を行う。鉄輪の「いま」を残したいという想いを込めた「zine(マガジン)」を発行予定。様々なクリエイターで鉄輪の魅力を伝える個展・「紡ぐ、鉄輪展。」のプロデュースも行っている。
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